2067へようこそ

sd 協力:東京日仏学院


 2067 未来に受けとるメール』はダヴィッド・ゲズによるインターネット・アート(インターネットを媒体とするアート)のプロジェクトです。インターネットを使い、未来へとメールを送ります。メールが時間をおいて配信されます。

2067は原理は単純ですが、待つこと、記憶、通信、我々の意識と時間との関係を主題とした作品です。

2067は『2067 telecom』シリーズの一つです。 http://2067telecom.net

方法.  

用意されたフォーマットに入力した後、あなた宛に送られてきたメールを使って最終確認の手続きをするだけでメールを送ることができます。

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送信相手には、あなたから未来に受けとるメッセージ」が送信されていることをあらかじめお知らせする通知メールが送られます。

メッセージは暗号化され、送信日までネット上で保存されます。

送信日には、「過去からのメール」が相手のメールボックスに届きます。

相手がメールアドレスを変更することがあっても、通知メールに記載されたパスワードや暗証キーワードを使って、ウェブサイト上でメッセージを閲覧できるようになっています。

2067.HYPERMOI.NET のコンセプト

インターネットは我々世界の未来像かもしれない。そこでは、空間、時間、記憶、生命体に固有のダイナミックな進化過程が複雑な交流システムを構築し、最終的には「知性」を構築するだろう。

この「知性」は、無意識また意識の幾重もの層を扱う能力において、あるいは時間をダイナミックかつ平行に扱う能力において、我々の知性とは異なるものになるだろう。

我々の秘密、欲望、他者との関係を司り、我々の進化の最も忠実かつ有用な証人である抽象的形相の核心に飛び込むこと、それはつまり我々の能力の未知の部分へと飛び込むことである。

そこで我々は自問する。我々が答えを熱望している根本的問題への回答の糸口を、この「知性」はすでに提供しうるのではないか、と。まるで、アイデンティティ形成途中の子供を見て、大人である我々が我々自身のアイデンティティについて自問するかのよう

時間と戯れ、ネットワークと戯れ、未来へとメッセージを送る。それは、自己の外部に存在する未知の相手に対して欲望、期待、そしておそらくは不安を感じるような、一種の対話の始まりである。

もしかしたら、ネットワーク自体が秘密の保証人、いや、秘密の保証人にして番人であるような真の関係をつくることができるのかもしれない。
しかし、どうやって過去に返答するというのか? 過去それ自体が過去にはさかのぼれないというのに? この事実を前に何をするというのか? どうしろというのか? こう考えるとき、インターネットは、亡霊、つまり、過去の様々な時期の「我々自身」との目に見えぬ交信の仲介の場として機能しうるのかもしれない。

なぜなら、時間を超越することなしに、どうやってこの対話を続けるというのか? これは日常の問題などではない。過去に立てた問い、すなわち、自己の存在についての問い、そして、自己という存在は時間と共に何を生成するのかという問いに、答えを見つけるということなのだ。

亡霊の問いに答えること、それは自分自身の問いに答えることだ。つまり、今ここで我々が問題としている形式において、数年後の他者としての自分に新たにメッセージを送ればいいのだ。場所時、時、時代は問わない。他者と、他者としての自分と、不思議な対話の場をつくりだせばいいのだ。

あとは、この新しい交信の形態がどのようなものになるか、実際に試してみるだけだ。「超我の私」すなわち「ネットワークとつながった私」「ネットワークとしての私」が提案するものを体験するだけだ。